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見積もり甘くてデスマーチ?正確な作業見積のメリットとコツの話 1/2

こんにちは、たもです。

 

仕事において、ある程度の裁量権を持っていると、その仕事はいつ終わるの?と上司や顧客から聞かれることはありませんか。

また締切が決まっている場合でも、

  • そこまでに終わらせることが可能かどうか?
  • どこまでの完成度を保証できるか?

と聞かれることもあるのではないでしょうか。

このときパッと答えられなかったり、安請け合いな見積もりをしてしまうと、相手の要求に引っ張られて無理なスケジュールを組み、長時間労働で体や心を消耗してしまうかもしれません。

 

そこで今回は、作業の正確な見積もり方や、その答え方について紹介できればと思います。

 

作業を正確に見積もることのメリット

そもそも、作業を正確に見積もることでどんなメリットがあると思いますか?

正確な見積のメリットは、以下の3つがあります。

  1. 楽観的すぎる予想、自信過剰の防止
  2. 悲観的すぎる予想、機会損失の防止
  3. 作業効率アップ

 

まずメリット1について、

実際より楽観的な見積もりを立ててしまった場合、土壇場になって「できませんでした」と言われても、同僚や顧客はフォローしきれないことが多いです。

また、納期に間に合わせようとして頑張りすぎ、自分の体を壊すリスクもあります。

さらに、締切までに終わらなかった場合は、理想と現実のギャップによって、自信喪失や燃え尽き症候群にもなりえます。

正確な見積をすれば、上記のリスクを減らせます。

 

一般に、人は「自分には悪いことは起こらないだろう」という楽観バイアスを持っています。*1

カンで見積もりなどしようものなら、実際より楽観的な見積もりになりがちになるでしょう。

そのため、カンに頼らない、客観的で正確な見積が重要性になるわけです。

  

 

次にメリット2について、

悲観的すぎる見積もりを立ててしまったばかりに、自身の成長や新規ビジネスのチャンスを逃すのもまた、もったいないことです。

結果として出世コースから外れたり、お得意様になるはずだった顧客を逃したりすることがあるかもしれません。

その瞬間は良くても、数年後、数十年後になったとき、挑戦しなかったことへの後悔が自分を苦しめるでしょう

 

 

メリット3は意外に感じるかもしれません。

パーキンソンの法則というのをご存知でしょうか。

パーキンソンの法則は、イギリスの歴史学者パーキンソン氏が提唱した法則で、

  • 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

ということを表す言葉です。*2

たとえば、明日までに会議の資料を作ってほしいと言われた場合、普通は1日使って資料を作成します。

ところが、3日後までに会議の資料を作ってほしいと言われた場合、人は1日でも終わる資料を、わざわざ3日かけて作ってしまいます。

 

逆に言えば、締切が3日後でも、資料作成は1日で終わると見積もりを立てることで、人は見積もり通りに作業を終わらせようと意識します。

結果として資料作成は1日で終わり、2日分の余裕ができるのです。

ゆえに、事前の作業見積が作業効率を上げると言えましょう。

 

もちろん、ここで作業見積を「半日」としてしまうと、資料作成が思った時間で終わらない経験をつくってしまい、自分の見積もりへの自信がなくなってしまうので、やっぱり見積もりの正確さが重要だったりします。

 

 

 

正確な見積を出す方法

作業を正確に見積もるには、数えられるものを数える、または計算することです。

例えば、ソフトウェア開発なら、

  • 開発要件(機能)の数
  • ユースケースの数
  • webページの数
  • クラスの数

などを数えると、どれくらいの時間がかかるかを予想しやすくなるでしょう。

有名な見積方法であるファンクションポイント法も、数えて見積もる方法のひとつです。

 

見積の正確性は、何を数えるかによっても変わります。

見積の正確性を上げるには、できるだけ細かく分割した作業を数えると良いでしょう。というのも、

  1. 作業のボリュームが小さいほど楽観バイアスが減り、見積もりのズレが小さくなる
  2. 小さい作業は数が多いため、有用な統計が取れ、見積もりのズレを修正できる

だからです。

 

1つ目の理由を説明するにあたり、例として、数学の問題集を1冊終わらすのにかかる時間を見積もるところを想像してみてください。

このとき、

  • 1冊終わらせる時間をざっくり見積もる
  • 1ページ終わらせる時間を見積もり、そこにページ数をかけ、1冊終わらせる時間を見積もる

という2つの手段があるとすれば、後者の方が正確に見積もれるでしょう。

これは見積もる対象の作業がより詳細で具体的なため、楽観バイアスが入り込む余地がないためです。

 

2つ目の理由についても、先ほどの数学の問題集の例を使いましょう。

1ページ30分で終わらせる見積もりを立て、100ページある問題集のうち、すでに30ページ終わってるとします。

このとき、30ページにかかった時間は1800分とすると、実績としては1ページあたり平均60分かかったことになり、1ページ30分の見積もりは過小見積だったことになります。

これに気づければ、その後の70ページ分は1ページ60分かかると見積もることで、より計画的に問題集を進めることができます。

 

以上の理由から、できるだけ詳細で具体的な作業を見積もるように心がけるとよいです。

作業の細かさは、以下の条件に近づくように分割するとよいでしょう。

  • 1作業あたり1時間以内で終わる
  • 20個以上数えられる

 

 

まとめ

以上、正確な見積もりのメリットと、その方法について説明しました。

まとめると

  • 正確な見積もりにより、自信過剰や機械損失のリスクを減らし、作業効率がアップする
  • できるだけ細かい作業を見積もると、見積もりは正確になる
    (作業はそれぞれ1時間以内で、20個以上数えられるのが理想)

でございます。

 

とはいえ、大きなプロジェクトになってくると、「最初からそんな細かい作業を数えられないよ・・・」といったケースもあるでしょう。

 

その問題に対する解決策は・・・

 

今回は長くなったのでここまで。続きは次回に回しますね。

 

 

次回は、

  • 大きなプロジェクトを正確に見積もる方法
  • 見積もりの結果を上司や顧客にどう伝えるか

 についてお話します。

 

 

それでは。

 

参考文献